STANCE (8)  『ものさし』 
 
(「 Imagine Club通信」 2000・12・15号 より )

 今日は「ものさし」について書きます。
 皆さん方は、自分のものさしを持っていますか?
 TVやラジオや雑誌に、新曲や新譜の情報が載っていますが、やっぱり一度は自分の耳で聴いてみるべきだと思うのです。マスコミの情報や友達のススメで聴く人も多いと思います。中には、日本武道館でのコンサ−トチケットが30分で完売という、とんでもない話しまで飛び込んできます。自分なりの「ものさし」とは、TVやラジオなど他の人の音楽評価ではなく、自分が聴いてどう思うか? という、自分の意見を持っているかという事です。その積み重ねが、ア−チストの個性として積み上げられ、形づけられると思うのです。
 今の 長渕 剛 のファンの人と話しをすると、「照和で¥500のチケット代で30回位聴きにいった」というと、「エ〜ッ 俺も知っていたら絶対見に行ったのに〜っ」とよく話されますが、そう言う人の中に、今現在、無名でどこかの場所で唄っているア−チストを応援して、聴きに行ってる人がどれ位いるでしょうか? 結局ほとんどの人が自分の「ものさし」を持っていないのです。
 僕は17才の時、当時20才の 長渕 剛 の唄を聴いて、大変感銘を受け、毎週 毎週 金曜日の夜、照和に通い続けました。お客は、非常に少ない日もありました。その当時無名に近かった 剛 さんの唄を、みんな、あまり聴きに行こうとはしなかったのです。現在でも無名に近いア−チストで、一生懸命やっている人を知っています。メジャ−の人の作品よりも数段いい作品もたくさん生まれていると思います。
 マスコミのセ−ルスコントロ−ルに惑わされずに、自分の「ものさし」で聴いて良し悪しを判断して欲しいと思います。売れる売れないは、紙一重の運命で左右されたりもします。自分でいいと思ったア−チストを、応援して欲しいものです。ちなみに、僕の家族は 長渕 剛 の唄が嫌いです。


                 ( 関 連太郎 )


STANCE (「イマジンクラブ通信」9月1日号より)

 最近若い「自称音楽家! 」という人と話していると、プロになってメジャ−デビュ−したいので、東京で○年間頑張ってみて・・・もしくは,25才までになんとかメドをつけて・・・なんて話す人がよくいます。じゃあ○年間頑張ってみてだめだったらどうするのだろう?という素朴な疑問がわいてきます。結果、メジャ−デビュ−できなかったら音楽をやめるのか? それもいいでしょう。だけどそれで本当にいいのでしょうか?
 メジャ−デビュ−とは、音楽を商品化する会社に入る事です。オ−ディションに落ちたって、それは商品化するには適さないというだけで、「素晴らしい音楽ではない」と言ってるわけじゃないのです。要するに,お金なるか ならないか、ただそれだけの基準でしかないのです。(中には、純粋に音楽の質に取り組んでいる会社もあるとおもいますが・・) 私は、無理やり商売化すること自体変だと思うし、もっと自然体で音楽に接する方が、多くの人を感動させる音作りが出来そうな気がします。
 「演歌をやれ」と言われて帰ってきた人、プロデュ−サ−と目指す音楽の隔たりを感じた人、デビュ−はしたけど売れなかった人、それぞれ東京を後にした人達を、たくさんしっています。レコ−ド会社にアプロ−チしていく事は、ひとつの押し売りと同じです。宣伝費やレッスン代、交通費に生活費、スタジオ料やアレンジ依頼、CDプレス代など「○百万円 金を出せ!!」と、レコ−ド会社に言っている様なものなのです。そう簡単にOKしてくれません。
 「だめだったヨ」じゃなくてもう少し楽に、仕事しながら、本当にやりたい音楽や表現したい音を目指しましょうよ。 
                 ( 関 連太郎 )